2007'04.21.Sat
丸沼芸術の森コレクションによる
アンドリュー・ワイエス 水彩・素描展&フォーラム
アンドリュー・ワイエスと言えば、アメリカの現代画家で
写真のように写実的な絵を描くことが知られていますが、
代表作とされるのはたいてい「テンペラ」という技法を使った絵が多い中、
近々デッサンと水彩の展示されるというチラシを見たのが数週間前。
会場の「丸沼芸術の森」は埼玉県。予備知識は全くナシ。
しかし現在水彩の勉強中で、写実表現万歳の身としては何としても見たかった。
元来出不精な私ですが、えいやっと思い切って行ってきました。
最寄り駅まではわりとすんなり行けたのですが、そこからが大変。
バスが出てると書かれてたのですが、1時間に2本。
しかもかなり迂回をしていく周遊バスしかない。
結局、駅到着から会場までは丸1時間かかってしまいました。
が、とんでもない間違いをしていたことが発覚したんですよ。
バスが出ていたのは隣の駅で、私が降りた駅からは基本的に公共の交通手段がなく、
タクシーを使うことが推奨されてたんですね~。いやー、よく辿り着けたもんだ。
でもって、着いてからもびっくり!
まずバス停から示された道は、バカでっかい倉庫と倉庫の間で、どう見ても私有地。
その先は畑と民家がのどかに広がる閑静な場所だったのですが、
会場はなんとプレハブ!!! 目がテンになりました。
まあ、「芸術の森」という位だから、ある程度は自然の中にあると想像してたのですが
展示室はビジターセンターみたいなものだと思ってました。
実際には、数棟のプレハブのほかに敷地内は色とりどりの花や、緑でいっぱいで、
時折小鳥のさえずりが響き、穏やかな風がそよいだりしてまして、
またある場所では、おそらく焼き物用の釜と思われる煙突があったり
ところどころに銅像が立てられていたり、なんとも創作意欲が沸きそうな場所でした。
実際に何かを制作しているような人が数人いらしたんですが。
さて、本題の展示について。プレハブ小屋の展示室なんですが、
入ってみたら外見とは裏腹に、ちゃんとした部屋でした。
展示されていたのは29点と、かなり少なめなんですが、
一つ一つをじっくり観察することができ、
ひとつの作品のために、鉛筆やインク描きの習作を
繰り返し繰り返し描いていた様がよくわかりました。
そして、水彩画のとんでもない存在感。
色を塗らない箇所と、真っ黒に塗られた箇所の美しいバランス。
混じりあう色も、計算されつくしたような絶妙さ。
「何で水彩でこんな絵が描けるんだ~」と何度呟いたことか。
ところどころに置かれたパネルに、彼自身の言葉が記されていたのですが
「鉛筆画はもっとも抽象的な表現方法だ」というような内容に目からウロコが落ちました。
一見鉛筆描きのスケッチは、物事をありのままに描いているように思えますが
世の中のどこを見ても「輪郭線」は存在しないのですよね。
また、彼は写実主義と言われますが、「自分は抽象画家だ」と言っていたそうです。
彼の描いた写真のような景色は存在しないことがほどんどだとか。
実際、一連の習作を続けて見ていると、はじめは何かのデッサンから始まったものが、
どんどん変化していく様子がよくわかりました。
結果的に出来た作品は、習作とは全く変わっているということもしばしば。
一見写真のように事実に忠実で明確に見えながら、決して写実ではない。
それがワイエスの作品だと感じました。
このワイエス展は定期的に行われているようで、今回は7回目だそうです。
フォーラムも、場所が近かったらぜひ参加してみたかったところなんですが。
芳名帳に載っていた住所は県内の人がほとんどでした。そりゃそうだよな。
写真はミュージアムショップ(これもプレハブで別棟)で売っていた
数年前に大々的に開催(といっても地方ばかりだったけど)された
水彩・素描展のカタログです。
展示されていない作品もいっぱい載っていてうれしい。
これで1500円。安い。
喫茶室(やはりプレハブで別棟)では300円というお得価格で
コーヒー(or紅茶)と自家製シフォンケーキがいただけます。
行くまでが大変でしたが、とても気持ちのいい一日を過ごせました。
会期は4/29まで。興味のある方はぜひ。
バスが出てると書かれてたのですが、1時間に2本。
しかもかなり迂回をしていく周遊バスしかない。
結局、駅到着から会場までは丸1時間かかってしまいました。
が、とんでもない間違いをしていたことが発覚したんですよ。
バスが出ていたのは隣の駅で、私が降りた駅からは基本的に公共の交通手段がなく、
タクシーを使うことが推奨されてたんですね~。いやー、よく辿り着けたもんだ。
でもって、着いてからもびっくり!
まずバス停から示された道は、バカでっかい倉庫と倉庫の間で、どう見ても私有地。
その先は畑と民家がのどかに広がる閑静な場所だったのですが、
会場はなんとプレハブ!!! 目がテンになりました。
まあ、「芸術の森」という位だから、ある程度は自然の中にあると想像してたのですが
展示室はビジターセンターみたいなものだと思ってました。
実際には、数棟のプレハブのほかに敷地内は色とりどりの花や、緑でいっぱいで、
時折小鳥のさえずりが響き、穏やかな風がそよいだりしてまして、
またある場所では、おそらく焼き物用の釜と思われる煙突があったり
ところどころに銅像が立てられていたり、なんとも創作意欲が沸きそうな場所でした。
実際に何かを制作しているような人が数人いらしたんですが。
さて、本題の展示について。プレハブ小屋の展示室なんですが、
入ってみたら外見とは裏腹に、ちゃんとした部屋でした。
展示されていたのは29点と、かなり少なめなんですが、
一つ一つをじっくり観察することができ、
ひとつの作品のために、鉛筆やインク描きの習作を
繰り返し繰り返し描いていた様がよくわかりました。
そして、水彩画のとんでもない存在感。
色を塗らない箇所と、真っ黒に塗られた箇所の美しいバランス。
混じりあう色も、計算されつくしたような絶妙さ。
「何で水彩でこんな絵が描けるんだ~」と何度呟いたことか。
ところどころに置かれたパネルに、彼自身の言葉が記されていたのですが
「鉛筆画はもっとも抽象的な表現方法だ」というような内容に目からウロコが落ちました。
一見鉛筆描きのスケッチは、物事をありのままに描いているように思えますが
世の中のどこを見ても「輪郭線」は存在しないのですよね。
また、彼は写実主義と言われますが、「自分は抽象画家だ」と言っていたそうです。
彼の描いた写真のような景色は存在しないことがほどんどだとか。
実際、一連の習作を続けて見ていると、はじめは何かのデッサンから始まったものが、
どんどん変化していく様子がよくわかりました。
結果的に出来た作品は、習作とは全く変わっているということもしばしば。
一見写真のように事実に忠実で明確に見えながら、決して写実ではない。
それがワイエスの作品だと感じました。
このワイエス展は定期的に行われているようで、今回は7回目だそうです。
フォーラムも、場所が近かったらぜひ参加してみたかったところなんですが。
芳名帳に載っていた住所は県内の人がほとんどでした。そりゃそうだよな。
写真はミュージアムショップ(これもプレハブで別棟)で売っていた
数年前に大々的に開催(といっても地方ばかりだったけど)された
水彩・素描展のカタログです。
展示されていない作品もいっぱい載っていてうれしい。
これで1500円。安い。
喫茶室(やはりプレハブで別棟)では300円というお得価格で
コーヒー(or紅茶)と自家製シフォンケーキがいただけます。
行くまでが大変でしたが、とても気持ちのいい一日を過ごせました。
会期は4/29まで。興味のある方はぜひ。
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おぉ、ワイエス好きです!
久し振りにこちらに来て見たら、ワイエス展に行かれたんですね。^^
学生時代に見たワイエスの、女性が野原に倒れかかっている絵が写真よりもドラマチックで衝撃的でした。そうそう、MoMAにあるChristina's Worldです。写実的に見えるけれで、現実を映しているだけじゃないんですよね。それであざとく見えないのがテクニックなのか。。
興味大有りだけど、遠くて行けないです。(^^;せめてGWの間やってくれたらよかったのに。。とにかく素敵な話題ありがとうございました!
しばらく美展に行ってないので、億劫になってます。モネ展には行きたいのですが、混んでるらしいので終わりかけの頃を狙おうと思ってます。
学生時代に見たワイエスの、女性が野原に倒れかかっている絵が写真よりもドラマチックで衝撃的でした。そうそう、MoMAにあるChristina's Worldです。写実的に見えるけれで、現実を映しているだけじゃないんですよね。それであざとく見えないのがテクニックなのか。。
興味大有りだけど、遠くて行けないです。(^^;せめてGWの間やってくれたらよかったのに。。とにかく素敵な話題ありがとうございました!
しばらく美展に行ってないので、億劫になってます。モネ展には行きたいのですが、混んでるらしいので終わりかけの頃を狙おうと思ってます。
素敵でした!
ろめいんれたすさん、コメントありがとうございます。ワイエスいいですよね~。
「クリスティーナの世界」は特に有名な作品ですね。私も大好きです。ミュージアムショップでもポスターが売られてましたが、お高い(額抜きで壱万円・・・)ので、習作のポストカードで我慢しました。水彩で描かれてるんですが、なかなか味があっていい感じです。
丸沼芸術の森の展覧会、かなり小規模ですのであまり強くはお勧めできないかも・・・(汗)水彩画と素描だけですし。私は行ってよかったと思いましたが。ワイエスは昔から興味があったんですが、本物を見たのは初めてだったんですよ。
もし有名作品も含めた大々的な展覧会が催されるんだったら、次はぜひ行きたいですね。
「クリスティーナの世界」は特に有名な作品ですね。私も大好きです。ミュージアムショップでもポスターが売られてましたが、お高い(額抜きで壱万円・・・)ので、習作のポストカードで我慢しました。水彩で描かれてるんですが、なかなか味があっていい感じです。
丸沼芸術の森の展覧会、かなり小規模ですのであまり強くはお勧めできないかも・・・(汗)水彩画と素描だけですし。私は行ってよかったと思いましたが。ワイエスは昔から興味があったんですが、本物を見たのは初めてだったんですよ。
もし有名作品も含めた大々的な展覧会が催されるんだったら、次はぜひ行きたいですね。
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